家庭力

小学生のための学習のしつけ

わが子を家庭でしつける際、学習面だけでなく生活全般や人間性についてもしつけをおこなっていくことで、肝心の学力が伸びていきます。学習面のみをしつけ、他は放任している場合は小学校時代は成績が良くても、中学、高校と学年が進むにつれ学力は伸び悩む可能性が大きいです。ひどい場合、負担になっていく勉強を辛抱強く頑張る心が折れて、鬱的な状態になったり家庭内の暴力に発展してしまう可能性さえあります。

生活全般のしつけは、子どもが健康的で規則正しい生活を送るように親が注意を払うことです。朝は朝食をきちんと食べる、そしてそのための時間が十分とれるように早起きをする。夜は十分な睡眠時間をとるために夜更かしをしない。好き嫌いは多少はあってもかまいませんが、栄養バランスの良い食事をとる。炭水化物や糖分を取りすぎない、肉や魚などのたんぱく質も多く取る、繊維質やミネラル、ビタミンが豊富な野菜をとることです。テレビやゲームは控え、土曜や日曜などは外で運動がてら体を動かして遊ぶ。運動が苦手で体力がない子の場合、ウォーキングなどでも十分です。見習うべき点を持っている、尊敬できる友達を積極的に作る。こうしたしつけを保護者は心がけます。

人間性のしつけが最も重要です。人間性さえしっかりしていれば、現時点で勉強が苦手でも、成績は必ず伸びます。明るく活発で愛想のいい子どもに育てましょうというのではありません。人間は大人も子どもも、その人特有の気質があります。積極性がある性格、羽親分肌、姉御肌で面倒見がいい性格。おとなしく無口な性格。これらは気質ですから、無理に別の性格にもっていく必要はありません。積極的でも内気でも共通した性質はあります。ものごとをあきらめない、粘り強く取り組む性質などです。こういったものは生まれつき持ち合わせている人もいれば、飽きっぽくすぐにほおり出す性質の人もいます。

けれども飽きっぽさは変えられます。勉強に必要な性質をしつけによって育てていくのが重要です。1つは自主的にものごとに取り組む、自分でわからないことがあったら、他人を頼らずに最初は自分であれこれやってみたり調べたりする。責任ある行動がとれる人間に育てる。家庭や学校のクラスで自分がやるべきこと、役割を意識させることです。家事のうちいくつかは責任をもって行うように分担させることです。

現時点での子どもの能力や学力に対して高望みなことを要求してはいけません。子どもが自分はダメな人間だという思いを募らせてしまいます。細かな点まで指図したり、しつけしすぎたりして、あれこれ注意していると、子どもはおびえて自分から積極的に何かをやる気持ちがなくなっていきます。

注意力や集中力を育てることも大切です。不注意だったり、ぼんやりしたりする性格だと、それだけ脳がいきいきと働いてないことになり、教科の学習も理解不足になっていきます。教科に限らずこどもが興味を持ったものを思う存分やらせるのがいいです。好きなことなら集中力や注意力が養えるからです。頭を使い、創意工夫のしがいがあることが理想です。

ゲームは決してだめです。頭も使わないし、創意工夫もありません。わがままや甘えを子ども自身が自ら抑えられるようにします。集団生活の中で自我を抑え他人と協調することは大切です。自分のわがままを抑え、自分の考えを他人に合わせるのは、頭脳も使います。自分の意見を相手に理解させるためにいろいろ考え、自分の考えを相手と合わせるために修正もします。そして自分の思考が深化するのです。協調性を持つということは賢くなるということでもあるのです。

学習のしつけでは、学習習慣を持つことが最も重要です。勉強がどんなに嫌いな子でも毎日20分は勉強をやることです。漢字練習や計算練習や理科や社会の筆写など、簡単なことでも構いません。その勉強習慣は、今日はどこどこに出かけるから休みとか、旅行だから休みとか、昨日たくさんやったから休みとか、そういったことではだめです。体調が悪いときはしおなくていいですが、そうでない限り、必ず毎日勉強をすべきです。

学習のしつけでは、学習の習慣以外にも細かなことでいろいろあります。字は下手でも丁寧に書く。漢字で書くべきところは漢字で書く。自主的にいろいろ調べ物をする。手を抜かない。テスト勉強は特別に頑張る。テストで間違ったところは必ず復習してできるようにすることです。時間はかかってもいいから丁寧な学習を心掛けることです。慌てて雑に10のことをやるより、ゆっくり丁寧に2のことをやったほうがはるかに確かな実力がつきます。