就職

一流企業への就職率100%という、秋田県の国際教養大学

テレビや雑誌などさまざまなメディアで、とりあげられている国際教養大学。

どんな大学なのか、プラス評価が多いがマイナス面はあるのか? ―必要があっていろいろ調べてみました。これは、その忘備録。

まず大学の所在地と諸情報。国際教養大学が創立されたのは2004年。まだ10年も経過していないんですね。
学校種別は公立大学とのこと。てっきり私立だと思っていただけに意外です。
この公立の運営というのは、秋田県の地方独立行政法人の運営のことです。地方行政独立法人の大学運営は、日本で初の試み。さすが教育県の秋田。
全国小中学生の学力テストで全国1位を例年獲得しているだけのことはあります。
1990年に開校し、2003年に閉校してしまった米国のミネソタ州立大学機構の秋田校の施設をそのまま利用したのがこの大学。野村監督ならぬ、再生工場なんですね
所在地は秋田県秋田市ですが、かなりの田舎で大学以外、何もないらしい。国際教養大学に通学する学生の不満は、この立地の不便さに強くあるようです。
学部は国際教養学部で、学科はグローバル・コミュニケーション実践研究科のみ。単科大学です。

この大学の特徴であり、大企業への就職率の良さをけん引しているのが英語学習。
大学の授業は、すべての科目を英語で行います。一般には、大学の授業で、そこまで英語にこだわるところは多くはないです。英語の授業ですら、日本語と英語で行います。英文学科や英語学科には、英語のみで授業を行うところもありますが、それは英語を専修する学科だからです。だから、国際教養大学が、全授業を英語で行うというのはかなり異例です。

英語の授業だけではありません。大学を卒業するまでに、1年間の海外留学をしなければなりません。設立時よりも大学入試の偏差値は10ほどあがり、早稲田、慶応、上智よりも難度が高いのではないかといわれるほどです。大学の入学においても最難関大学の1つとなっているようです。
入学も厳しいけれど、卒業はもっと大変で4年間で卒業できるのは2人に1人と何かの雑誌に書いてありました。半数は一生懸命勉強しているにもかかわらず、過酷な英語学習のために留年を余儀なくされるそうです。

1000人近い学生の中に150人ほどの、海外からの留学生がいて、留学生たちは寮生活をしています。日本の学生も、1年生の間は全員が寮生活を義務付けられていて、外国人留学生と2人部屋になるとのこと。学校の授業以外、寮生活というプライベートな空間と時間でも、英語でのコミュニケーションを持たねばならないような設定をするのは、国際教養大学の本気度はすごいものがあります。

アメリカの海兵隊の将校が日本への派遣する場合、3か月間、合計1900時間程度の、日本語の語学学習を集中的に行うそうです。日本語の学習を朝から夜まで行い、この集中学習以外はどんな任務も行わない、完全な缶詰です。すると誰でも、日本語の会話はもちろんのこと、かなり自在に日本語を操れる湯になるんのだとか。語学は
毎日2時間ずつ時間をかけてやる性質のものではなく、集中的に一気に数か月うあったほうが、あっさり身につきます。

国際教養大学の英語漬けの授業や、外国人留学生との寮生活も、とても効率の良い学習効果をもたらすと思います。

大学の専門科目の学習内容は、英語で行われているためなのか、それほど専門性の高いものでもなく、日本語で習ったなら簡単なのになというものだそうです。簡単な事柄を英語で習うため、難しくなってしまう。そのため、帰国子女など英語の得意な人には若干、物足りない面もあるとか。

東大理科3類の教授であり「バカの壁」の著作でも有名な養老孟司先生は、日本人が英語教育をしすぎることに懸念を抱いていると本で述べていました。日本語で専門性や深度の高い学究が行えるのに、英語の学習に時間を割きすぎた教育をやっていると、優秀な学者が育ちにくくなるという趣旨の内容でした。

私などは素人で何もわかりませんが、単純労働だけでなく知的労働においても国際競争は激しくなるので、学問が好きではない人間は、食うために英語ぐらいは徹底的に行ったあほうがいいと思います。利口な人間は英語ができなくても食っていけるでしょうが。