文房具

勉強と万年筆

私は、普段の勉強では万年筆を使っています。万年筆は全部で9本持っています。万年筆を壊してしまうことなく、長く使い続けるための最良の方法は毎日使うことなので、毎日さぼらずに、短い時間でも勉強を続けることができています。また、勉強以外にも「気づいたこと、読書やネットで得た知識や情報」をこまめにノートにメモをしています。以前はこういう習慣は全くなかったのですが、万年筆を購入し、それを使うことが楽しくなって、メモをこまめに書く習慣が身につきました。

勉強で万年筆を使う利点は手が疲れないこと

高校や大学の受験勉強、公務員試験の勉強、資格所得のための勉強などで使用する筆記具としてお薦めなのが万年筆です。その理由は、万年筆は手が疲れないからです。シャーペンやボールペンでノートに何かを書きつける場合は、30分に1回程度、休憩をはさんでも、数時間すると手や指先が疲れてしまいます。頭脳は元気なのに、手が疲れて勉強が続けられないという状態になります。筆圧の強い人は、手や指先がくたびれるのも早いです。
ところが、万年筆だと、長時間、ノートに何かを書きつけることでの手や指先の疲れがありません。ワープロやパソコンがない時代の作家が、原稿用紙やノートに文章を書くとき、万年筆を好んで使っていたのは、手の疲れがないからです。
なぜなら、万年筆は紙にペン先を軽くあてるだけで、インクがペン先から出てくるので、筆圧をかけなくても字が書けるからです。万年筆を軽く握り、紙の上をペン先で軽くなでるだけで文字が書けてしまうのです。万年筆の会社やペン先の調整によっては、ほんの少しは筆圧が必要なこともあれば、筆圧が全くなくて済む場合もあります。どちらが使いやすいかは個人の好みです。
万年筆を使って長時間、文章を書いているとき、疲れてくるのは肩や背中や腰です。そのときは勉強をいったんやめて、ストレッチをしたり、散歩をしたりすればよい気分転換になるし、頭脳もリフレッシュされます。手が疲れたときには、ストレッチや散歩はしません。手を振るぐらいです。手を振るようなのはなかなか気分転換まではいきません。やはり、万年筆を使い、長い時間、勉強をし、疲れて散歩をして気分転換をはかり、頭脳も心もリフレッシュするのが、生活リズムが整った良い勉強になると思います。

勉強で万年筆を使うもう1つの利点はモチベーションがアップすること

勉強で万年筆を使うもう1つの利点は、勉強のモチベーションが上がることです。誰にとってもモチベーションが上がるというわけではありませんが、文房具が好きな人ならば、確実にやる気が出ると思います。私は文房具が好きで、シャープペンシルでもボールペンでもさまざまなものを持っています。シャープペンシルならば、デルガード、オレンズ、Dr.グリップ、クルトガ、スマッシュなどを持っています。デルガードはアドバンスが新発売されたらすぐに買いましたし、オレンズは、オレンズネロを方々探して0.2mmと0.3mmを購入しました。スマッシュは赤と白の限定カラーも購入しました。
ボールペンは、サクラクラフトラボ001が気に入っています。
それでも、万年筆を使うときが、勉強の気合いが一番入ります。高級であり、かつ使い勝手のいい筆記具を使って戦闘モードに入るといった気分です。
これまで万年筆を使ったことのない人には、一度使ってみることをお薦めします。

万年筆を初めて使う人は、そんなに高くないものをチョイス

万年筆を初めて使う人は、そんなに高くないものを選んだらよいと思います。万年筆は壊れにくいわけではないのですが、高い筆圧で書き続けていると、やがてペン先が広がり、文章を書くときインクが出過ぎるようになってしますことがあるからです。どのぐらいの筆圧の人が気をつければよいのかというと、筆圧の強さのせいでシャーペンの芯をついつい折ってしまう人です。普段から筆圧が強くない、あるいはあまり意識しないでも筆圧を弱く調整できる人は、高くない万年筆で使い方に慣れる必要はないでしょう。値段がそこそこそする、書き心地が自分に合った万年筆を選んでもよいでしょう。
また、ペン先が開いてインクが多く出るようになったら、万年筆のメーカーでペン先を調整してもらい、インクが出過ぎるのを直してもらうことができます。調整の料金も数千円です。ですから、値段の高い高級な万年筆が気に入った人は、それを買っても長く使うことは十分にできます。

万年筆のメーカー

それではどんな万年筆を選べばいいのでしょう。日本人に人気があるのは、モンブランの万年筆ですね。モンブランは、スイスのブランドです。海外ブランドでは、他にはドイツのメーカーであるペリカンの万年筆が人気です。あとは、つい最近までは、イタリアのデルタの万年筆も人気がありましたが、デルタは経営不振で廃業しました。『趣味の文具箱』という万年筆の雑誌では、何かにつけてモンブランとペリカンとデルタの万年筆が並んだ写真が掲載されているので、私の印象としてはこの3つが人気の気がします。
国産の有名な万年筆のメーカーでは、パイロット、セーラー、プラチナがあります。好みは人それぞれです。私個人の好みは、パイロットが1位、セーラーが2位、プラチナが3位です。

私が所有している万年筆

次に、私がここ数年で購入した万年筆をお話しします。外国のメーカーでは、モンブランとペリカンです。国内のメーカーはパイロットとセーラーです。パイロットが特に気に入っています。モンブランが1本、ペリカンが1本、セーラーが1本ですが、パイロットは6本です。なぜ、パイロットが多いのかというと、どの価格帯の万年筆も品質がよく、書きやすいからです。
では、私が持っている万年筆について1つずつ述べます。

モンブランの万年筆「マイスターシュテュック149」

モンブランの万年筆はマイスターシュティック149を持っています。これは東京の銀座の伊東屋に来店して購入しました。ペン先はEF(極細字)です。私はペン先が細いのが好みです。国内のパイロットやセーラーの万年筆のペン先のF(細字)と、モンブランの万年筆のEFが同じぐらいの細さです。日本語には漢字があるため、外国の万年筆よりもペン先が細くなっています。
書きやすさは、紙先にほんの少し引っかかるかなという程度です。これはモンブランの万年筆のペン先が極細であるのと、使い始めて間もないことの2つによるものです。ペン先が細字でインクの出がもっとよく、ペン先は書き続けて丸くなってくれば引っかかりは完全になくなります。
また、私は筆圧を全くかけずに、ペン先を紙面に滑らせて書くので引っかかりを感じるというのがあります。
また、軸の長さや太さですが、私にはちょうどいいです。ずっしりとした手ごたえがあって高級な万年筆を使っているなという手ごたえがあります。重みはあるけれど、バランスがいいので、長時間使っても手が疲れません。マイスターシュティック149はモンブランの万年筆の中でも最も大きく、その一方、私は男性でありながら、手の大きさや指の長さは女性より小さいのですが、それでも長時間疲れずに使えるのはバランスがいいからでしょう。

ペリカンの万年筆「スーベレーンM800緑縞」

ここ数年で買い集めた万年筆のうち、初めに買ったのがこのスーベレーンM800です。スーベレーンシリーズでは2番目の大きさです。モンブランのマイスターシュティック149よりも明らかに小さいです。ペン先はマイスターシュティック149と同じEF(極細字)です。メーカーは違うけれども、書いた文字の太さは同じです。パイロットの万年筆の細字と同じ太さです。最初に買ったペリカンの万年筆のスーベレーンM800のペン先の極細字の太さが気に入ったので、この後に買ったモンブランもパイロットもセーラーも、このペン先の太さと同じものにしたのです。その結果、モンブランは極細、パイロットとセーラーはだいたいのものが細字というようになりました。この万年筆は新宿のキングダムノートに来店して購入しました。
書き味はモンブランのものと同じです。ほんの少し引っかかる感じがあります。インクの出方も同じです。どちらも万年筆の品質の非常に良いメーカーなので同じようになるのだと思います。
けれども、ペリカンの万年筆の使い心地は、私が持っている他のメーカー、モンブランやパイロットやセーラーと比べて今1つです。デザインは非常に気に入っているので、毎日使っていますが、20分ほどで使うのをやめます。どうも私の短い指には合わないようなのです。キャップとのねじになっている溝の部分が手に当たって、だんだんと痛くなってくいるのです。ねじの溝より上を持つと、バランスがかなり悪くなって、字をうまく書けなくなります。ス-ベレーンの軸は流線形になっていないので、指の短い私だと持っていて疲れるのかもしれません。それでも、デザインや品質は気に入っているので、限定発売の万年筆を予約している段階です。到着するのが楽しみです。

セーラーの万年筆「プロフェッショナルギア金」

セーラーの万年筆は最後から2番目に買いました。一番最後に買ったのがモンブランのマイスターシュティック149です。パイロットの万年筆やペリカンのスーベレーンと比べて使い心地がどうなのかを知りたかったのが購入の動機です。ペン先はF(細字)です。モンブランやペリカンのEF(極細)よりも細かったです。また、パイロットの細字と比べても、セーラーのほうがやや細いです。書き味は、インクの出がよく、とても滑らかです。モンブランやペリカンよりも滑らかに滑るように書くことができます。かなり気に入りました。持ってのバランスは、セーラー万年筆はモンブランの万年筆に形状を似せて作ったと噂されるだけあって、とても良いです。購入はアマゾンです。とある万年筆の販売店が定価の30%引きの価格で新品を出品していたので、そのお得感に誘われて衝動買いのような気分で買いました。万年筆のショップには、海外の万年筆を割引価格で売るところもあるのですが、それほど値引きをしません。一方、国内のメーカーの万年筆は、30%の割引で売られることがあるのです。この点が、私が国内メーカーを気に入っている理由の1つです。

パイロットの万年筆「カスタム74」

私が持っているパイロットの万年筆は、カスタムシリーズばかりです。カスタム74は10,000円と、カスタムシリーズの中では購入しやすい価格になっています。けれども品質はとてもよく、書きやすいです。私はペン先がF(細字)のものを選びました。文字は、モンブランやペリカンのEF(極細字)と同じぐらいの細さになりますが、インクの出がよく引っかかる感じは全くありません。なめらかに滑るように書けます。かといってインクが出すぎることもなく、調整が絶妙にうまくいっています。気になるのは、軸さやが細いこと。Dr.グリップより少し細く、普通のボールペンやシャーペンよりはずっと太いです。軸さやの細い方が好みの人にはお勧めです。Dr.グリップは軸さやが太いので書きづらいという人もたくさんいますからね。私は軸さやが太いのを好むので、カスタム74は時々使う程度です。
塾の生徒がこのカスタム74でペン回しをして床に数回落としたことがありました。ペン先がずれてしまったので、パイロットの万年筆を取り扱っている丸善に修理にもっていき、パイロットに修理にだしてもらいました。ペン先の歪みはなく、ずれていただけなので、それを直すだけですみました。修理の値段は2,000円か3,000円だかでした。ペン先は案外丈夫なのだなと感心しました。普通はペン回しなどやらないので、ペンを落とすこともないと思いますし、落としても修理ができるなら安心ですね。
カスタム74はアマゾンで買いました。万年筆は、インクの出や書きやすさで調整が必要な、いわゆる外れがまれに混じるらしいので、店舗で試し書きして買うのがいいと言われています。私は、それを信じてモンブランのマイスターシュティック149とペリカンのスーベレーンM800は、どちらも東京に出かけたおりに、店舗で購入しました。けれども、パイロットはすべてインターネットの通販で購入しています。これは、パイロットの万年筆については、製品の品質が安定していて、いわゆる外れがないと言われていることを信じてのものです。アマゾンや楽天のレビューや、またさまざまなネットのブログを読み、信じるに至りました。カスタム74は定価は10,000円+消費税なのですが、私はネットで7,000円+消費税で買うことができました。店で試し書きに出していたものを販売しているのかなとも思いましたが、そんなことは全くなくて、パイロットの会社から仕入れたままでした。万年筆は、封をしっかりしたビニール袋に入っていました。カスタム74はスタンダードモデルであり、品質の良さとお手頃な価格によって、非常によく買われている製品です。ですので、割引率も高く、在庫も豊富にあるので、30%引きという高い割引率でも、きちんとした新品がいくらでも手に入るのかなと思います。
結論から言うと、初めて万年筆を購入する人には、こちらのパイロットのカスタム74をお勧めします。

パイロットの万年筆「カスタム743」

カスタム743は、ここ数年の万年筆の購入で2番目に買いました。ペリカンのスーベレーンM800の次です。スーベレーンが高い人気のわりに、私にとっては持っていてしっくりした感じがないので、パイロットの万年筆はどうなのだろうと気になり、そこそこの価格帯のカスタム743を購入しました。パイロットの万年筆では、一番初めに購入したのがこのカスタム743です。普通は安い万年筆から高い万年筆にあがっていくのでしょうが、私が持っている中で一番安い万年筆であるカスタム74は、最後に買いました。これは、カスタム74は使いつぶすつもりで買ったからです。
カスタム743の定価は30,000円+消費税でしたが、関西の万年筆の販売店から通販で30%引きで購入しました。ペリカンからパイロットのカスタム743に変えて、手に持ってのしっくりした感じと、ぺン先の滑らかさに感動しました。たちどころに、このカスタム743が気に入りました。ペン先はF(細字)ですが、あまりに滑らかに滑るように書けるものですから、文章を書くのが楽しくなりました。また、書いた文字も綺麗にみえるようになりました。特にひらがなが綺麗な字になりました。
この後、もっと高い値段のカスタムシリーズはどんな書き心地なのだろうと気になり、カスタム845を買うに至ったのです。

パイロットの万年筆「カスタム845」

パイロットの万年筆がすっかり気に入った私は、あちこちのwebサイトで使った人の感想などを見ていました。また、パイロットの万年筆は海外でもは販売されているので、アメリカのネット記事や通販サイトのパイロット万年筆のレビューなどもみたりしていました。
すると、アメリカ人の1人が「世界各国の有名ブランドの万年筆をいくつも使っているが日本のパイロットの万年筆が最も気に入っている。デザインも魅力的だし、書き心地もいい。パーフェクトな製品だ。日本人は自分たちの国にこんな素晴らしい万年筆があるのに、なぜわざわざモンブランや、ぺりカンやシェーファーやパーカーの万年筆を買って使うのだろう。不思議だ。」とありました。
これを読んで、私は本当にその通りだなと思いました。とはいっても、外国のメーカーの万年筆は、このときはペリカンしか持っていなかったのですが、書きやすさは、私にとってはパイロットのほうが上でした。デザインはペリカンのほうが好きではありますが。
そこで、そのときはカスタムシリーズの中で最も高価格であったカスタム845を購入することにしました。定価は50,000円+消費税ですが、20%引きで買いました。私が探していた時は、市場にあまり出回っておらず、どの通販でもF(細字)は1,2ヶ月の入荷待ちの状態であったため、はM(中字)を選択しました。M(中字)を好む人も多いのですが、私にとってM(中字)じはあまり好きにはなれませんでした。大きな字を書く人、はがきなどによく文章を書く人にとってはM(中字)のほうがいいのでしょう。大きな字だと、見栄えはF(細字)より中字(M)のほうがずっとよくなります。Mのほうが文字が引き立ちます。私も、いずれ年をとって大きな字を書くようになり、845のMを気に入って使うこともあるかなと思い、洗浄して大切に保管しています。
カスタム845のM(中字)を購入して後、1年近くは万年筆を買うことはありませんでした。1年近く後に、ようやく市場に流通し始めたカスタム845のF(細字)を購入できました。ペンは15号と大きく、弾力もあります。そのため、紙への引っかかりは全くありません。カスタム743だと紙面が滑らかなノートだと滑らかに書けるのですが、コピー用紙で紙面が荒いものになるとわずかにひっかかります。カスタム845は荒い紙面でも、15号と大きく、しかも弾力のあるペンのおかげなのか、すらすらと滑らかにぺンが走ります。他の万年筆よりも圧倒的に滑らかなのですから、シャーペンやボールペンとは全く異次元の書きやすさです。万年筆を初めて買う人にお勧めなのがカスタム74ですが、値段は高くてもいいから、一生使えるような高級な万年筆が欲しいとしたら、このパイロットのカスタム845をお勧めします。これと同じランクのものモンブランの「マイスターシュテュック149」やペリカンのスーベレーンM1000だと思いますが、マイスターシュティック149はおよそ10万円ですし、スーベレーンはおよそ70,000円です。845は50,000円で、店によっては40,000円で買えるのですからコストパフォーマンスも圧倒的に優れています。書き心地も素晴らしいですし。
ただし、マイスターシュティック149やスーベレーンM1000と同じ大きさであり、一般に手の大きな男性が選ぶサイズなので、女性などで大きいのを好まない人は向いていないかもしれません。先にも述べたように、手が小さく指の短い男性の私でも、この大きな万年筆で、専門書の内容をまとめる文章を4時間も5時間も連続して書き続けても疲れることは全くありません。これは、ペン先が滑らかに走るので筆圧が限りなくゼロに近い状態で文章を書くことができることと、軸さやの重みのバランスの良さと、流線形の形のための持ちやすさにあると思います。

パイロットの万年筆「カスタムURUSHI」

パイロットがこれまでにない最高級品として新しく作った製品です。価格も、カスタムシリーズで最も高いグレードの845が定価50,000円だったのに対して、カスタムURUSHIは88,000円と高いです。ペンもカスタム845は15号なのですが、カスタムURUSHIは30号とても大きくなります。
私は、カスタム845を2本買ったあとに、このカスタムURUSHIを買いました。私が買ったときは、カスタムURUSHIの市場での流通はとても少なく、予約して入荷を待つような状況が1年以上続いていました。私も2月に予約して入手できたのは6月末でした。
このカスタムURUSHIは定価通りで通販で購入しました。定価より安く価格で販売している店がなかったのです。数か月待って自宅に届き、段ボールの箱、そしてケースを開けて、カスタムURUSHIの実物を初めて見たときは非常に驚きました。想像していたよりはるかに大きかったからです。そして、「この万年筆は、自分の氏名を何かに書いたり、企業や行事の受付で来場者に氏名を書いてもらうのに特に適しているな」と思いました。
カスタムURUSHIのペン先はMF(中細字)を選びました。なぜFではないのかというと、カスタムURUSHIのペン先は、FM(中細字)・M(中字)・B(太字)の3種類のみだからです。非常に大きい万年筆で、ペンも30号なので小さな文字を書くのは、一般的ではありません。必然的に大きな文字を書くことになります。すると、最も細くてもMFの太さがちょうどよくなります。実際、自分で文章を書いても、自然と文字は大きくなり、そのため、MF(中細字)の文字の太さは、見栄えがよかったです。毛筆の習字で小筆だと小さな文字になり、筆が大きくなると書かれる文字も自然と大きくなるのと同じですね。
このカスタムURUSHIは、書き心地は万年筆というよりは、むしろ毛筆の習字に近いです。インクが出やすいという意味ではなくて、滑らかさ以上のものがあるのです。万年筆の書き味のたとえとしてよく、ヌメヌメと書くことができるというのがありますが、カスタムURUSHIはまさしくその、ヌメヌメ書けるのです。サラサラが845ならURUSHIはヌメヌメという語感がぴったりです。これはMFというペン先の太さの影響もあるでしょうが30号という非常に大きなペンが生み出す柔らかな弾力のおかげでもあると思います。カスタムURUSHIは、文句なしの逸品です。

万年筆のインクについて気をつけること

万年筆のインクは、大きく分けて染料インクと顔料インクの2種類があります。そして、染料インクの中には、いわゆる古典インクというものがあります。

染料インク

染料インクは、衣類や皮革を染める染料と同類のものを使っています。すなわち、主に植物から抽出した色素を材料としているのが染料インクです。水に溶けやすい性質だというのが染料インクの最大の特徴です。そしてこの性質が染料インクの長所でもあり、欠点にもなります。
欠点としては、水に濡れると文字が水に溶けて読めなくなってしまうことがあります。長所としては、水に溶けやすいので、万年筆のメンテナンスがしやすいことです。しばらく使わなくなった万年筆を水で洗浄すれば、万年筆の内部のインクが水によく溶けてくれます。ですので、乾いたインクが万年筆の内部にこびりついて、インクの出が悪くなることがありません。
水に溶けやすいことと直接の関係性はないのですが、染料インクは、書いた文字が数年で消えてしまう危険性があります。太陽の光にさらすと特に消えやすくなります。長く保管しておきたい文書、たとえば公的文書などは、文章が消えてしまうので染料インクで書くことは適していません。
そこで、作られているのが古典インクです。

古典インク

古典インクは、古典ブルーブラックとも呼ばれています。古典インクは、年月が長く経過しても文字が消えないように、染料インクに鉄のイオンを混ぜて作ってあります。長く保管しておきたい公的な文書などは、この古典インクを使って書かれていました。古典インクで文章を書いたとき、紙面上でインクが酸化し、インクが紙面上で黒く沈殿して紙に定着します。ところが、古典インクにはやっかいな問題があります。それは強い酸性だということです。強い酸性ですから金属を腐食させます。錆と同じような状態が金属に生じます。そして、強い酸性の液体でも腐食しない金属が金です。そのために、万年筆ペン先は金が使われているのです。けれども、金が使われているのはペンの先端部分だけなので、ペンの大部分の金属は腐食の危険性があります。
今では、古典インクはほとんど生産されていませんし、販売されている古典インクでも酸性にならないような処理をしてあるので大丈夫です。
ペリカンでは「ブルーブラック4001/76」のみが古典インクです。ほかにはプラチナの「クラシックインク」です。ペリカンは1種類だけなのに対して、プラチナは6種類とも古典インクです。これらはどれも弱い酸性ですので、手入れをしっかり行っていればペンを傷めることはないそうです。

顔料インク

顔料というのは、さまざまなものを着色する着色材のうち、水や油に溶けないものをさします。顔という字を使っていますが、顔の化粧に用いる着色材というわけではありません。化粧にも用いますが、実にさまざまなものの着色に使います。ゴムやプラスチック製品の着色も顔料で行います。絵具なども
顔料の1つです。水に溶けるのが染料、水や油に溶けないのが顔料というのが大まかな分け方です。
顔料を用いているのが顔料インクなのですが、水に溶けにくく、長い年月が経過しても文字が消えないという長所があります。また、染料インクはノートの紙面によっては滲んだりしますが、顔料インクは滲むことがほとんどありません。ノートの紙の裏側まで透けるということもありません。
一見、便利のような顔料インクですが、水に溶けにくいための欠点もあります。それは、ペン先がつまりやすいということです。メンテナンスをしっかり行わないと、ペン先がつまって、文字が書けなくなってしまいます。

基本的には純正のインクを使うこと

万年筆のインクを選ぶさい、「そのメーカーの純正のインクを使うことが大切だ」とよく言われています。これは、どのメーカーも自社のインクに合わせて文字を書いたときのインクの出を調整しているからです。インクは各社によって少しずつ粘り気が違います。非常にさらさらしたインクもあれば、じわっとインクが出てくるインクもあります。そのメーカー以外のインクを使うと、インクの出がよすぎたり、または悪すぎたりすることがあります。
もっとも、純正のインクを使ったほうがよい理由は、一般的にはこのインクの出なので、別のメーカーのインクであっても出方があっていれば使っても良いと思います。ただし、何があるかはわからないのでメンテナンスはしっかり行うのが大切です。

ボトルインクとカートリッジインク

わたしは、ボトルインクのみを使っています。パイロットとセーラーはカートリッジインクも入手しやすく、購入したときに付属でカートリッジインクもついていたのですが、ボトルインクのほうがいろいろな色があるのでそちらを選びました。

万年筆の手入れとメンテナンス

万年筆の最大の手入れやメンテナンスは、万年筆を毎日使うことです。毎日5分でもいいから使い続ければ、インクの出方が悪くなることがありません。
インクをしばらく使わなかったとき、インクの色を変えるとき、インクの出方が悪くなったとき、万年筆をしばらく使わずに保管しておきたいときは、万年筆をよく水洗いすることが大切です。また、毎日使い続けている場合でも、3か月に1度ぐらい水洗いをすると、インクの出がよいままで使い続けることができます。気をつけるのは、洗剤を使わないことです。かならず水、またはぬるま湯で洗うことです。

万年筆の軸の素材

万年筆の本体である軸さやの部分の素材について述べます。
数千円から3万円ぐらいの価格帯の万年筆はプラスチックやアクリルの樹脂を使っていることが多いです。熱や衝撃に強いからです。これらの素材が軸さやである場合、特に神経質になる必要はありません。それでも、自動車の車内に長時間置くなど、高い熱にさらすのはしないことが重要です。
軸さやの素材にエボナイトを使っているのが、パイロットのカスタム845とカスタムURUSHIです。エボナイトは、生ゴムを時間をかけて硬化させたものです。天然樹脂に分類されます。軸さやとして耐久、耐性で最も優れているのがエボナイトであると言われています。エボナイトは加工が難しく、エボナイト自体も稀少であるため、エボナイトを素材に使った万年筆は非常に少ないです。エボナイトは、経年によって漆黒から黒茶に変色するので、長年使っていると、味わい深さが出てきます。皮革製品と似ていますね。パイロット以外ではセーラーが「キングプロフィットエボナイト万年筆」を生産販売しています。モンブランの最高級万年筆であるマイスターシュティック149はエボナイトではなく、人工の樹脂を使っています。モンブランが自社開発した樹脂で、高い強度、耐熱性が強い、キズが付きにくいことなどをめざしたものです。
パイロットのカスタム845とカスタムURUSHIはエボナイトを使っていますが、漆を表面に何度も塗っており、漆黒の光沢が長く続くようにしています。セーラーのエボナイト万年筆は黒茶色への変化をよしとしているのと対照的です。私は、万年筆の軸の漆黒の光沢が気に入っているので、パイロットの方を合計3本持っています。
気をつけるのが軸さやがセルロイドの万年筆です。セルロイドの万年筆は、軸さやが美しい色合いになっています。けれども熱に弱く、燃えやすく、耐久性も低くと、扱いに慎重さが必要になります。

万年筆は一生使えるのか?

万年筆は1万年でも使えるから万年筆だと多くの人に思われていますが、実際はそんなことはありません。使い続けていれば、ペン先は摩耗し、書き味が鈍くなります。
では、どのくらいでペン先が摩耗するのでしょうか。
ペン先が金の万年筆(いわゆる一般的な万年筆です)の場合、毎日1000文字を書いた場合、10年間はペン先が摩耗せず使えるとのことです。この10年間という数字は、耐久試験機に乗せて連続筆記試験を行った結果、算出したものだそうです。ですから、日常生活で使った場合は、毎日1000字書いても、10年間の4倍から5倍の40年から50年は持つだろうと言われています。
また、ペン先は修理を依頼して研ぐことができます。また、ペンを交換することもできます。他の部分でも軸さやを交換したりとか、万年筆の部品のほぼすべての箇所で修理ができるので、一生モノといえそうです。

クリスマスプレゼントや誕生日プレゼントや入学祝や就職祝いや卒業祝い

万年筆は高校生や大学生への贈り物の代表的な存在です。けれども、万年筆より他の贈り物がよかったという人も多くいます。喜ぶ人と微妙な気分になる人の両極に分かれます。なので、贈る際は、あらかじめ万年筆は好きか、欲しいと思うかなどの確認をしたほうがいいでしょう。
文房具が好きな人がみな、万年筆も好きだというわけではありません。いろいろなシャーペンやボールペンは持っているが万年筆はいらないという人も多いです。逆に、ボールぺンは黒と赤と青ぐらいしか持っていないが万年筆にはとても興味があるという人も多くいます。