学習意欲

成績が上がった中学生~学力が伸びる子の考察

中学校の中間テストが終わり、塾に通う生徒たちがテストの結果、答案用紙を塾に持ってきました。
塾としては、持ってくることを生徒たちに義務付けているわけではなく、生徒たちが自己判断で持ち寄るだけです。

この答案を塾に持ってくるかどうかについても面白い傾向があります。

成績が良い子は誉められたくて持ってきます。これは当然の行動です。
私がいつも感心するのは、成績が悪い子の振る舞い。
成績が悪い子、点数でいうと10点台から30点台の点数ばかりで合計しても150点ぐらいの子。
個別指導の個人塾なので、こういったできない子がほとんどです。「学習障害児でしょう」と世間では判断されがちなレベルです。
ですが、学習障害の子なんて本当に少ないです。学校の成績で0点から30点の子を数百人はみてきたけれども
これはちょっと厳しいなと思ったのは1人だけです。オール1の子もいましたが、その子も2年ほどかかりましたが学校の成績が
平均点をとるまでになりました。
話をもとに戻します。150点ぐらいの子の行動。自分の点数を友達に知られるのも嫌だし、
自分ができないことを隠したくてしかたない様子なのに、点数が悪くても教えている私には見せるのです。慰めを求めるとか
アドバイスを求めるとか、具体的な何かを求めて見せるのではありません。
点数が悪いことに困っていて、漠然と救済を求めて見せるのです。私は慰めたりも叱ったりもしません。
「じゃあ、この次はもっといい点が取れるように何かしてみよう」というだけです。その何かは山ほどあるけれど、
事細かにあげると生徒が大変なので、さらっと何かと言ってみるのです。
こういう風に、自分の点数を見せる生徒は、成績が必ず伸びます。自分が抱えている現実、自分は勉強ができないという事実に
きちんと向き合っていますから。そして何とかしたいという思いがあって、助けの手を他者に求めているのですから。
こういった生徒にはプリントを与え、つまづいているところを丁寧に説明し、音読や15分復習をやらせるだけで必ず伸びます。
今まで勉強しなかった分、脳が鍛えられていなかった分時間はかかりますが必ず伸びます。

一方、点数を見せない、こちらが点数を尋ねてもあいまいなことしか言わない子は伸びません。自分の現実と向き合わない、
自分が勉強ができないことに困っていないからです。困っていなければ、甘く考えているならばできるようになるわけがありません。

今回の中間テストは中学1年生の1学期の英語も理解できていなかった子が2人いるのですが、中3の1学期の中間テストで
平均点をとることができました。単語の意味がわからないどころか、語順を正しく並べるのもだめ、主語と動詞の区別もつかない、
5教科でいっても、5教科の合計点数は100点を超えなかったのです。

対話を重視し、どういった考え方で、その間違った答えを書くのか1問ずつ聞きました。そして、問題とは考えて解くものだと
いうことを意識させました。中2の秋に入ってきたので8か月かかって、1人は5教科80点が5教科210点に、もう1人は5教科80点が
5教科260点になりました。

自分が勉強ができない事実としっかり向き合い、その事実を受け止め、自分はこのままでいいのだろうか?
本当はもっとできるようになりたいんだよなあという気持ちを持つ
これが成績が伸びる第一歩です。
やる気の前の段階です。できるようになったらいいなあ、頭が悪いのをこそこそ隠さなくていいしなあという思いさえあれば
それは必ず、やる気につながり、そのやる気は行動となって成績があがります。