家庭力

考えない子どもは、本当に考えない

考えない子ども、頭を使わない子どもは、本当に頭を使いません。何も考えない、あるいは考えても、その考えがどうしようもなく浅いのです。これは3歳とか4歳の幼児を見て痛感したのでもなければ、小学生を見て驚いらわけでもありません。中学2生の子たちを見てつくづく思ったのです。
私の塾に英語が苦手な中学2先生が来ています。その子たちが塾に通い始めた頃のことです。
中学2年生の3学期に入塾したので、2年近く学校で英語を学んでいます。けれども英単語を覚えていないし、英文法の簡単な仕組みもわからないし、意識もしていない。
単語については、Iとweを区別していません。Iの意味は「私」。weの意味も「私」。Iとweと全く違う字なのにどちらも「私」と訳したんでは、わざわざIやweと区別して言う必要はないんじゃないの?なんでわざわざIと言ったりweと言ったりするの?と尋ねると、日本語も私とか俺とか言うから英語も同じと言います。じゃあ、Iのときamでweのときにareという使い分けは?と聞くと、そんな面倒な使い分けをするから英語は難しい、嫌いだで終わります。思考が停止し、嫌いだで片付けてしまうのです。だいたい、中学校の英語の授業を2年間聞いて、定期テストもテストも10回も受けていたら、Iが「私は」でweが「私たちは」の意味になるぐらい体で覚えているはずですが。またこの子たちは、Iとweだけでなく、I、my、me、weが全部「私」という意味でとらえています。だから、英文を書かせると、とんでもないところにmyやmeが登場します。ourやusは登場しません。教科書の登場頻度が低いために全く頭に入ってないのです。
英文については日本文の語句と英文の語句を同じ順番で並べます。私は昨日学校に行ったとあると、I yesterday school to went.です。 日本語と英語の語句の順番は逆になりやすいというと、went to school yesterday Iと、一生懸命考えたあげく書いてくれます。確かにIを先頭に持っていけば正解んあのですが、答えを出すのに時間がかかりすぎます。I yesterday school~と書いた後、改めて逆から書くのですから。
これもさんざ、主語+動詞と聞いてきたのに覚えていないのです。考えていないから覚えていない。中学生にとって英語は暗号を読み解く作業のようなものです。暗号で使われる記号の1つ1つの意味を探り、それらの記号が並ぶ順番を考えて解読していく。暗号は考えねば解けません。それと同じで、考えずに覚えるだけでは永遠に英語を理解できないままです。
数学の簡単な問題だとパターンを身につければいいだけなので、考えが浅くてもそこそこできるようになります。考える習慣を持った子には、考えるという行為を意識しないほど、半ば無意識に文法的なことを考えて暗記します。考える習慣がない子は、お手上げです。
そしてここ数年は、こういった考えない子どもが増えているようです。日常生活で頭を使わない、考えないから、考えるという行為に慣れていないのでしょう。
考える習慣はどうやれば身につくのか。知育玩具や正しい幼児教育を施すことによってはじめてその習慣が身につくと思う人も多いでしょうが、もっとシンプルです。読書です。好きなジャンルの本を読む、それだけです。小さいうちは知識の獲得ではなく、考える習慣を身につけることに徹すればいいのです。