2021年度から中学校の英語の学習カリキュラムが刷新されました。英文法では、これまで高校で習ていた現在完了進行形と仮定法が中学校でも学ぶようになりました。
そこで今回は、中学生のために現在完了の「継続用法」と現在完了進行形の違いに焦点をあてて説明します。この2つの違いを分かりやすく説明しているwebサイトや市販の参考書は非常に少ないからです。
市販の参考書では、学研の「パーフェクトコース」、旺文社の「中学総合的研究」では、現在完了進行形については簡単に説明したのみで、現在完了「継続用法」との違いは、はっきりとは述べていませんでした。これについては、まったく役に立たない内容でした。受験研究社の「自由自在」は、2つの違いをそれなりに説明していますが、違いの核心的な部分を触れていませんでした。webサイトでは、現在完了の「継続用法」と現在完了進行形の相違ではなく、現在完了の「完了・結果用法」や「経験用法」と現在完了進行形の相違を説明しているのが多いです。これらは、わざわざ説明するまでもなく違いは明らかです。それをあえて説明すると、かえって混乱を招きます。
それでは、説明に入っていきます。もう1度、念を押して言いますが、現在完了の「継続用法」『(過去から現在まで)ずっと~している』と、現在完了進行形「(過去から現在まで)ずっと~し続けている』の相違についての説明です。
状態動詞と動作動詞
現在完了の「継続用法」と現在完了進行形の相違について理解するとき、まず知っておかなければならないことがらがいくつかあります。状態動詞と動作動詞もまた、知っておかなければならないことがらの1つです。
動詞にはbe動詞と一般動詞があります。そして一般動詞は状態動詞と動作動詞に分類されます。状態動詞は状態を表す動詞です。動作動詞は動作を表す動詞です。いくつかの例を次に述べます。
状態動詞・・・live:住んでいる、know:知っている、want:欲しい、like:好きだ
状態動詞は、一時的な動作(ごく短い時間での動作)を表すのではなく、何らかの状態が続いている状態を表す動詞です。liveならば、住んでいるという状態が続いているのを表しています。knowは知っているという状態、wantは欲しいという心の状態が続いているわけです。
動作動詞・・・eat:食べる、swim:泳ぐ、study:勉強する、go:行く
動作動詞は、一時的な動作(ごく短い時間での動作)を表す動詞です。動作動詞は数が多いです。
状態動詞にも動作動詞にもなる動詞・・・stand:立っている, 立つ、have:持っている,食べる, 飲む
状態動詞にも動作動詞にもなる動詞というものもあります。
状態動詞のstand:立っている
An hotel stands on the hill. 一軒のホテルが丘の上に立っている。
動作動詞のstand
Stand up, please. どうぞ立ち上がってください。
状態動詞のhave:持っている
He has two daughter. 彼には2人の娘がいる。(2人の娘を持っている)
動作動詞のhave:食べる, 飲む
I had a lunch at the restaurant at eleven. 私は11時にそのレストランで昼食を食べた。
現在形と現在進行形での状態動詞と動作動詞
次に現在形と現在進行形での状態動詞と動作動詞の用い方を考えます。現在形と現在進行形での状態動詞と動作動詞の用い方を理解すれば、現在完了の継続用法と現在完了進行形の相違も一気に理解できます。
現在形では状態動詞も動作動詞も用いることができるが、現在進行形では動作動詞だけが用いることができる
現在形では状態動詞も動作動詞も用いることができます。
状態動詞
I know him. 私は彼を知っている。
She lives in Tokyo. 彼女は東京に住んでいる。
He likes apples. 彼はりんごが好きだ。
動作動詞
I play tennis every Sunday. 私は毎週日曜日にテニスをします。
He has bread for breakfast. 彼は朝食にパンを食べる。
現在進行形では、動作動詞のみ用いることができます。状態動詞を用いることはできません。これは、状態動詞は、「~している」というように、ある状態が続いていることを表すからです。進行形的な意味をすでに持っているからです。
動作動詞
I am studying English now. 私は今、英語を勉強しているところです。
She is going to school by bike now. 彼女は今、自転車で学校に向かっているところです。
Mike and I are having lunch now. マイクと私は今、昼食を食べているところです。
現在完了の継続用法と現在完了進行形の相違
現在完了の継続用法と現在完了進行形は、意味としては大きな違いはありません。どちらも「(過去から現在まで)ずっと~している」という意味になります。
2つの違いは、状態動詞や動作動詞を使うことができるかどうかにあります。現在完了の継続用法は状態動詞も動作動詞も使うことができますが、現在完了進行形は、基本的には動作動詞しか使えません。
現在完了の継続用法・状態動詞
I have lived in Tokyo for three years. 私は東京に3年間住んでいる。
I have known him well since I was child. 私は子どものときから彼のことをよく知っている
現在完了の継続用法・動作動詞
I have studied English for three years. 私は3年間、英語を勉強している。
I have watched tennis games on TV for two years. 私は2年間、テレビでテニスのゲームをみている。
※現在完了の継続用法で、動作動詞を用いる場合は、過去から現在まで、趣味や習慣が続いているニュアンスになります。
現在完了進行形・動作動詞
It has been raining since this morning. 今朝からずっと雨が降り続いている
Mother has been cleaning those rooms for three hours. 母はそれらの部屋を、3時間ずっと掃除し続けている。
※現在完了進行形のでは、動作が途切れることなく、ずっと続いていることを表します。
念のために、現在進行形と現在完了進行形の違いも確認しておきましょう。現在進行形は「今、~しているところだ」というように、現在、ある動作を行っている最中であることを言っています。今、この瞬間のみのことを言っています。現在完了進行形は、過去に始まった、継続的な動作(進行中である動作)が現在まで続いていることを表します。
We are making chair now. 私たちは椅子を作っているところです。
We are making chair for three hours. 私たちは3時間、椅子を作っているところです。
現在進行形ですと、今、椅子を作っている最中というように、今のことしか話題にしていません。現在完了進行形ですと過去から始まった椅子を作るという行為が、現在までの3時間ずっと続いていることを表します。