中学生の勉強

ほとんどの生徒は、中学校の英語の教科書を無視したほうがいい

「脱ゆとり」のもとに、中学校教科書が全面改訂されました。どの教科の教科書も分厚くなりました。髪質が良いので、やたら重いです。
良くなった教科書は理科。理科は塾用のテキストも良いものがいっぱいあって感心しています。
テキストが良いから、塾の生徒たちにも教えやすく、彼らも理解しやすい。ダメなものもあります。旺文社の「中学定期テストの対策ワーク理科」中学3年生の力と仕事。斜面を落ちる物体の説明が高校生の物理の考え方で説明しています。内容としては正しいのだけれど、中学生用の説明と一致していない。
中学生だと重力を「斜面に平行な分力」と「斜面に垂直な分力」で軽く済ませます。旺文社は、重力と垂直抗力の合力として斜面に平行な力を語っている。間違ってないし、むしろ旺文社の考え方のほうがより適正です。けれども、この説明ではクラスでトップをとるような子じゃないとわからない。ほとんどの子は混乱するだけ。この本が頭のいい子を対象ならいいけど、平均レベルの子を対象としたものだから、明らかに、この部分は浮いてます。

話がそれた。教科書の話。数学はまあまあよくなってはいるけど、端々に変な解説があって使いづらい。自学自習できない。数学が苦手な人が、もう一度復習しようというとき、普通は教科書をやるのですが、数学が苦手な人は、この数学の教科書じゃ復習できない。計算問題にしてもいろいろな解き方を載せていて、意味がない。考えることに重点を置きすぎるあまり、問題の基本練習的な要素がない。基本問題に抜けがある。

そして最悪なのが英語。開隆堂のがひどい。教科書の対話文・長文などの本文がまるでダメ。日本のけん玉とか、ちょっとした祭りとかオーストラリアのアボリジニの土俗的な文化とかハワイのキラウェア火山とか、そういったものを話題にした文ばかり。今まで見たことも聞いたこともないような細かい、そしてどうでもいいようなことがらを英文で書いてある。その英文も中学生が習う程度のものだから、内容の説明が舌足らずで今一わからない。
社会の地理や理科の地学で習う火山についての説明が、その2教科よりも詳しく英文でなされているのだけど、その英文がカタコトすぎて何がなんだかわからない。火山についての知識を持っていないと英文が理解できない。英語を理解しようと思ったら、まず火山についての下調べをしないといけない。英語の勉強なのか、地理の勉強なのか、理科の勉強なのか分からない。ほかもそう。英文を理解するのに、そのテキストが書いてあることがらの文化的背景や知識背景を知らないといかねい。週に10時間も英語をやるならこれでもいいだろうけど、週に4時間でこれは無理。ほかにも4教科あるし。
そして英単語。特殊な意味の英単語は中学生用に言い換えるべきなのにそれをしていない。本文とか文章とか内容とかの意味を「body
で言っている。html言語で中心部分をbodyとしているし、今は主流だろうけど、英語を習いたての中学生だとbody=肉体のもともとの意味を押さえきれない。そして文章の内容が、本当にどうでもいいような細かなものばかりだから、出てくる単語も大切なものがさっぱり出てこない。
fatherの意味を父親と分からない中学3年生が5段階評価で4をもらっていたりする。なんでこんな基本単語がわからないのかと考えたら、fatherなんて中1・中2の教科書でほとんど出てこない。本文の内容が、日常的なことではなく、特殊なことばかりだから、日常でよく使われる単語が数か月に1回出てくるだけという事態になっている。
重要単語も火山とかアボリジニとかの、英語の習いたてでは重要でない単語も中間期末テストでは等しく出題されるから、ちぐはぐになっている。
高校入試の英語長文は日常的なことがらを話題にしたものがほとんどで、少々英語力が落ちても文章の大意を把握できる。けれども教科書のは映画力がよほど高くないと無理。しかも面白味がない。中学2年生の教科書の本文が、高校入試の英語長文より難しいっておかしいです。
中学校の英語の教科書をやるのは時間の無駄。もっと普通の文章で英語を身につける努力をしたり、日常、普通に使うような例文で文法や英単語の暗記をしたほうが、英語が好きになるし、英語力もつきます。